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【連載】日経エコロジー6月号 ISO事務局悩み相談室

内部監査のマンネリ化を解消する方法は?

内部監査のマンネリ化を解消する方法は? 内部監査のマンネリ化を解消する方法は?
 内部監査は、審査登録機関が実施する外部監査と共に環境マネジメントシステムの要である。だが、この内部監査も数年経つと、「不適合案件ゼロ、改善提案ゼロ」といった状態に陥り、マンネリ化することが少なくない。今回は、内部監査に工夫を凝らして、マンネリ化を防いでいるケースを紹介したい。

現場の特性に合わせ絞り込む

 松下電器産業で研究開発を担当する本社のR&D部門は、重点テーマを明確にした監査や内部監査員の選任を工夫して、内部監査の有効性を高めた例である。
 R&D部門は多くの特別な施設や実験機器を備えている。研究所ごとにその種類も違うため、対応する法令やリスクなども多様化している。
 以前は一般的なチェックリストに沿って内部監査を実施してきたが、昨年度から重点テーマを現場の特性に合わせて絞り込んだ内部監査に変更した。
 例えば、化学物質を扱うデバイス関連の職場は、環境・安全衛生のリスクや環境負荷の度合いが高い。そのような職場では特定作業の教育計画やその進ちょく状況、職場の管理状態などに重点を置き、法的な対応も含めて見る監査に改めたのだ。
 さらに、内部監査の客観性を高めることを目的に、普段は交流があまりない本社の環境本部のメンバーやISO9001(品質管理)、OSHMS(労働安全衛生)の担当者を内部監査のメンバーに招いた。
 R&D部門サステナビリテイ推進グループの伊東健治チームリーダーは、「環境本部のメンバーは松下電器グループ全体を把握しているので、R&D部門の内部監査員に比べ広い視点で監査ができた。こちらの内部監査員も勉強になり、監査のレベルを上げることができた」と話す。
 ISO9001などほかのマネジメントシステムに詳しい社内の専門家からアドバイスを受けたことも、監査を受けた職場には新鮮であったようだ。こうした新しい方法に変えたことがきっかけとなり、監査を受けた研究所などから事務局への要望や意見を収集できたという。
 どのような経営手法であっても、同じことを繰り返すだけでは緊張感を維持するのは難しい。内部監容も同じで、手法を変えて新味を出す工夫は大切な視点だろう。
 ISO14001は、PDCAで環境マネジメントシステムを回していく。だからこそ、社内事情に精通した監査員による内部監査の改善が、活力のあるISOによみがえらせる早道になる。だが、具体的に何をすればよいかわからずに悩んでいる企業が多いのではないだろうか。
 この点、NECは早くから内部監査員の監査レベルの向上に取り組んでいる。NECのユニークなところは、内部監査員の力量を毎年、評価している点である。
 NECには、22人の主任監査員と56人の監査員(2005年度)がいる。監査員の評価は、監査を受けた職場が監査チームを評価すると同時に、主任監査員が監査に同行した各監査員を評価するダブルチェック方式で採点する。
 採点は5点満点の5段階評価。点数化で監査のレベルが一目瞭然となり、その結果は個人にもフィードバックされることから、おのずと監査に緊張感が生まれるという仕組みだ。
 もっともNECでは評価をするだけではなく、その前段階としての内部監査員研修にも力を入れる。昨年度からは内部監査員の研修プログラムを改善し、分野別教育を取り入れた。
 分野別教育の導入は、本業とのかかわりを重視した内部監査の強化が狙いだ。上の表で示したように、ハード製品関連の部署を担当する内部監査員には、RoHS(有害物質使用制限)指令対応や鉛フリーの最新情報について、ソフト・サービス関連の部署を担当する内部監査員には環境負荷評価の制度と仕組みなどについて教える。この分野別教育も、新しい感謝の視点を持たせることで、マンネリ化を防止する試みである。

内部監査の“外注”も

 ここまで大企業の2つの事例を紹介してきたが、中堅・中小企業では内部監査員の養成がままならないケースも少なくない。そうした場合は、思い切って内部監査を外部のコンサルタント会社に出してみてはどうだろうか。
 自動車用コネクターなどの製造を手掛けるイリソ電子工業(川崎市)茨城工場は、2000年11月にISO14001認証を取得した。だが、ISO事務局の担当者の退職とIS014001の2004年版改訂作業が重なり、2005年10月にISOのマネジメントシステム診断と内部監容を当社(エコヒルズ)に委託した。
 その結果、ISO14001の活動が沈滞していたり、 リサイクル率が低迷しているのは、マネジメントシステムが多すぎて現場が混乱していることが原因とわかった。当時、同社ではISO9001、 さらに自動車産業に関連した品質の国際規格ISO/TS16949認証を取得中で、現場はルールがありすぎてどれもよくわからないという状態に陥っていたのだ。
 この監査結果によって、まずISO14001のスリム化を実施した。現場の負担を減らすために、茨城工場では、目的・目標を「6S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ、作法)」に絞り、原点に立ち返った。
 その結果、約1年間で環境マネジメントシステムが息を吹き返した。6S活動の巡視評価の結果では、茨城工場の11部門すべてが90点以上を獲得し目標を達成した。茨城工場管理グループリーダーの青木宏氏は、「ISO14001が息を吹き返し、品質管理の原点ともいえる整理整頓など当たり前のことができるようになった。お客様からも対応が丁寧だとの声が多くなり、ルールを守る意識が芽生え始めた」と言う。今年になってからは、環境部も発足した。内部監査のアウトソーシングという常識にとらわれない発想が、ISO14001をよみがえらせたわけだ。
 3社の事例は、 内部監査のやり方を工夫することで、 内部監査やISO14001自体のマンネリ化を打ち破る可能性があることを教えてくれている。
 

NECの監査員分野別教育の主な内容

分野 教育内容
環境関連法改正情報 ハード製品関連
ソフト・サービス関連 ・エコ・アクションプラン(年度目標など)
・アセスメント制度
・エコソフト(サービス)の内容
・環境負荷評価の制度と仕組み(LCAの活用)
・エコシンボル制度を提案した後のフォローと取得後のアピール
・社内外事例集など
省エネ関連 ・国内外の動向および法令関連
・現状の温暖化ガス排出状況および省エネ対応(事例含む)
・今後の省エネのポイント(生産革新、必須施策の実施)など
NECの内部監査員教育は1日半かけて実施する。2日目の午後に開かれる内部監査員の分野別教育は、監査の対象ごとに4つの分野がある。
 

ここがポイント

1.受ける側の事情に合わせ目的を明確にする
2.監査結果を評価するなどの仕組みを取り入れる
3.内部監査を外注し外部の視点を参考にする

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2007年05月15日 11:34に投稿されたエントリーのページです。

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