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【連載】日経エコロジー5月号 ISO事務局悩み相談室

無理しないで、lSOの効果を高めるコツは?

 環境活動は、手間やコストがかかり、現場では後回しにされてしまうことが少なくない。とはいえ、ISO事務局は各部門に環境で成果を上げてもらわなければならず、悩みを抱える担当者も多い。今回は、あまりコストをかけずに大幅な改善を実現した事例を紹介する。

感謝の心で素早く行動する

 神戸製鋼所長府製造所(山口県下関市)は、ISO事務局の担当者が現場の問題を1週間単位で解決することで従業員や取引先の心をつかみ成果を上げたケースだ。
 長府製造所は2000年3月にISO14001認証を取得したものの、 2年前までは産業廃棄物の再資源化率(埋め立て廃棄物にならない産廃の割合)が92%にとどまっていた。ところが、2004年4月にISO事務局に石井幹雄氏が就任後、わずか2年で再資源化率が99,9%(2006年度の実績)まで上昇した。
 彼が実行したのは、現場からの質問に対して必ずその日のうちに返事をするという基本的なことだった。石井氏は、「その日に解決できない問題は、途中経過でも報告する。現場に課題があるうちに情熱を込めて動くと担当者にやる気が伝わり、現場は変わる」と話す。
 こうして石井氏は大きな問題であっても、ほとんど1週間以内で解決した。つまり、現場ではPDCAを1週間で回したわけである。
 高炉の製造工程からは、大量の黒鉛が出る。リサイクル業者は大きな黒鉛に比べて小さな黒鉛を高い料金で買い取る。この情報を知ると、すぐに、「大きさで黒鉛を分別すれば、月額で10万円もうかる」と指導した。
 石井氏の対応は、出入りの産廃処理事業者との関係でも変わらなかった。打ち合わせでも自社の確認事項については、その日のうちに調査して返答した。収集運搬業者の運転手に対しても、引き取り時間をできるだけゼロにし、いつもお礼を言って信頼関係を築いたという。  この感謝の気持ちは、スピードと同様に社内外の現場の信頼を勝ち得るのに役立った。石井氏は、優先順位が低い環境の仕事を上から強制的に押し付けても限界があると考えて、現場で働く人たちに、「ありがとう」と笑顔で言ってもらえることを目標に仕事を進めたそうだ。
 こうして培った人間関係は、本業にも役立った。長年の懸案であった大型設備の解体についても、産廃処理事業者では無く、当初は全く考えもしなかった建築物の解体事業者であれば分別解体のコストが見合うことがわかった。
 環境関連のキャラクターを作り、現場のやる気を刺激している企業もある。印刷物を中心に広告などの企画を手掛けるユーメディア(仙台市)は、2000年10月にISO14001認証を取得したが、社員の環境に対する関心は年々低くなった。
 同社でISO事務局の補佐をしていた今野彩子氏は、環境活動をするならば楽しくやりたいと考えて、2004年10月「ビッキーとたまを」(ビッキ―はカエル、たまをはオタマジャクシ)のキャラクターをデザインした。
 すると、徐々にではあるが環境に関する従業員の意識が高くなり、実際の環境活動も活発になった。小さなことだが各フロアーで管理していた空調の温度設定を無断で変更されることもなくなり、社員の日常会話の中に「ビッキーとたまを」の話題が出るようになった。
 今野氏は、「最も大きな効果があったのは、ISO活動に関心の薄かった営業部門が、このキャラクターを営業に使おうと自発的に考え出したこと」と話す。その結果、2005年10月の販促イベントではマスコットにしたキャラクターを登場させると同時に、クールビズ推進のうちわにも印刷した。2006年5月には、地元テレビ局の取材を受けたという。
 同社のISO事務局長でマーケティングチームのグループリーダーを務める小幡秀樹氏は、「環境活動は義務感でするものと以前は思っていたが、キャラクターを作ったおかげで現場が自主的に盛り上がってくれるようになった。改めて強制ではなく自主的にやることの有効性を認識した」と話す。
 ISO事務局の事務作業の重荷になる内部監査の負担を軽くしたのは、あいおい損害保険だ。本社のスタッフは1600人、内部監査も30部門を対象に20の監査テームが担当し、報告書を積み上げると高さは数cmに達した。ISO事務局は内部監査の時期になると、各部門との連絡や報告書の修正指示、督促業務などに追われたが、仕組みの改善で事務の負担を大幅に軽減した。

「見える化」で競争心を刺激

 具体的には、内部監容の計画、報告書、是正措置、効果確認、フォローアップ幣容の報告すべてを1枚の様式で管理できるように改め、社内の電子掲示板に張り付けた。内部監査員一人ひとリが記入する仕組みに変えたのだ。
 社内掲示板による「見える化」により、内部監査を終了していない部門が浮き彫りになったため、各部門に競争心が芽生え、報告のスピードも格段に上がったという。
 このケースは、当社(エコヒルズ)がお手伝いした。あいおい損保CSR推進室の山田明部長は、「仕組みの改善を検討した時、エクセルの独自の表ソフト1つでISO14001のシステム全体を管理するという発想が良いヒントになった。私も大変楽になったが、各部門の担当者にとっては意味のわからない事務作業が大幅に減り喜ばれている」と話す。
 3社の取り組みは、現場の立場にたって考えると、少ないコストで大きな改善の余地があることを教えてくれる。
 

あいおい損保の内部環境監査ワークシート(一部抜粋)
06年度実施計画及び4月実施状態の確認(PDCA)

①自己チェック ②内部監査報告 評価結果 ③原因と対応計画④実施・効果確認 ⑤フォローアップ監査
1.環境方針・目標のユニットメンバーへの周知
カードの配布 問題なし   問題なし
2.目標の設定 目標の妥当性評価と具体的取組課題
①OA紙削減
実績、要因数変化など考慮したか?

・OA紙について目標の根拠が明確でない

・廃棄物削減は、前年度実績からすると目標は十分達成可能

・○○部は独自テーマなし
OA紙削減目標を対前年5%(3200kg)に訂正 OA紙の7月実績を確認中
②電力削減
具体的な取り組み課題は測定可能か?
③廃棄物削減
実現可能な目標か?
④グリーン購入
具体的な取り組みを担当は知っているか?
⑤本業の課題
最低1課題じゃ目標化しているか?
①自己チェック、②内部監査報告、評価結果、③原因と対応計画、④実施・効果確認、⑤フォローアップ監査を1枚のエクセルの表で見えるようにした。社内ウェブで公開し、各部門の競争意識も刺激した

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2007年04月15日 11:27に投稿されたエントリーのページです。

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