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【連載】日経エコロジー4月号 ISO事務局悩み相談室

田宮嘉一エコヒルズ社長
法令を順守するためISOで何をすべきか?

従業員の環境意識を高める工夫は 従業員の環境意識を高める工夫は
 洋菓子メーカーによる期限切れ材料の混入事件やテレビ局の番組ねつ造事件など、今年に入つてからも企業の不祥事に関するニュースが続いている。
 だが、こうした事件を対岸の火事と傍観できる企業は少ないのではないだろうか。環境法という観点だけに絞ってみても、法制順守が万全と胸を張って答えられる企業は少ないと思う。
 環境法は改正が繰り返される上に難解な法律が多く、順守する事項を特定するだけでも相当な力量を必要とする。今回は法制慣守の観点からIS014001認証をどのように経営に役立てるかについて考えたい。
 自動車解体業を営む山下(香川県善通寺市)は、従業員7人の中小企業である。2004年2月にISO14001認証を取得、昨年から環境管理責任者を山下智之社長から若手にバトンタッチした。同社では自動車リサイクル法については社員の理解も進んでいたが、そのほかの環境法の理解は必ずしも十分ではなかった。
 外部のコンサルタント会社に委託して、若手の環境管理責任者に、関連する環境法や条例の調査方法を基本から習得させている。その結果、新しい責任者は環境関連の法律でわからない点について担当の役所に問い合わせるまでになった。
 山下の優れた点は、中小企業ながら社長の法令順守に対する強固な意志のもと、環境法管理に従事する担当者の力量を向上させる仕組みをISO14001に落とし込んだ点である。
 環境法の担当者については選任の理由もあいまいで、ましてや力量をチェックする企業などまれだ。現状のIS014001の盲点を補完した好例であり、順法のPDCAを回していく上で、参考にすべき点であろう。

基本に立ち遅った西友

 「法律を順守しなさい」と一方的に言うだけでは、従義員は何をすればよいかと戸惑ってしまう。まず、順守すべき法律と条文を明確にしなければならない。
 1997年にIS014001の認証を取得した西友の取り組みを紹介しよう。同社はCSR(企業の社会的責任)活動に本格的に取り組むため、2005年に環境マネジメントシステムを独自に発展させたCSRマネジメントシステムを構築した。
 西友は、この新マネジメントシステムの構築に当たって、現状分析を行い、ISO事務局が各店舗に関係する環境法は何かを特定する仕組みを整備した。つまり、どんな環境法が自社の業務にかかわっているか、という問題からCSRの構築を始めたのである。
 なぜ、そんな基本的な問題までさかのぼる必要があるのかと思われるかもしれない。 しかし、環境活動が進んでいるといわれる企業の中にも、こうした基本を見落としている店舗や工場が少なくないと筆者は考えている。
 西友も現場に問題を抱えていた。当社(エコヒルズ)は依頼を受け、関東地方の1店について環境法の順守状況について実態調査した。その結果、環境法の特定漏れや、記載間違いなどの不備が見つかった。なかには店舗建設の際にゼネコンが作成した施設リスト自体の不備もあった。
 こうした実態が明らかになってからの西友の対応は速かった。それまで環境法の最新版管理を各店舗が行っていたが、CSR推進室が中心になって、本部が環境法の最新版を管理する仕組みに変更した。
 西友CSR推進室の嵩一成・企画グループマネジャーは、「法律という高い専門性が必要な業務まで、販売のプロである店長に任せてしまっていた。環境法と各店舗の関係を徹底的に見直した結果、環境法の管理を簡素化でき、法律を順守する土台ができた」と話す。

問題明確にした信越ポリマー

 環境法の重要性は、何か事件が起きた時に重要性を再認識させられるものだ。シリコーンゴムを製造する信越ポリマー児玉工場(埼玉県児玉郡)は、2004年、同工場の送り状の付いた資材が不法投棄現場で見つかり、警察から問い合わせを受けた。
 結局、排出事業者責任を問われることなく終わったが、この“事件”をきっかけに環境法の管理体制を再構築した。
 こだわったのは、廃棄物を担当する現湯の従業員に対して、どの環境法の条文をどのレベルまで教えるかを、 コンサルタントの意見も参考に徹底して考えた点である。それまで廃棄物処理法の排出事業者責任について教育はしていたものの、総論的な勉強にすぎなかった。
 まず、自らの工場から出た廃棄物は、「不法投棄させない」といった観点を中心にISO14001へ落とし込んだ。その過程で同工場に必要な環境法の条文などの調査も進んだ。
 同工場の新井幸雄・環境保安グループマネジャー兼環境管理責任者は、「環境法のどの条文を理解し、工場から出る廃葉物についてどこまで調査すればよいかが明確にできた。今後は何か起きても地域住民や行政機関に環境法の順守状況をしっかりと説明できると思う」と話す。
 法律順守のマネジメントシステムを確立し、不祥事の種を小さくすることは社内だけではなかなか難しい。今回、紹介した3社がいずれもコンサルタント会社の意見を聞いていたのは、その表れでもある。
 しかし、上の表で示したようにISO14001の規格に基づいて、自社のマニユアルの一部を改訂すれば順法マネジメントシステムを構築できる。いかに現場を巻き込んでいくかが重要になるが、一度、検討することをお勧めしたい。もちろん、この順法マネジメントシステムは環境法以外でも適用が可能である。
 環境法の基本書としては、『排出事業者のための廃葉物処理法完全ガイド』(日経BP)が読みやすくまとまっている。また、環境法の最新情報の入手は、エコロジーエクスプレス(NTTデータ)がよい。
 

●環境法の順守を強化するためのマネジメントシステム

4.3.2
法的及びその他の要求事項
マニュアル改定の必要はないが、調査内容が重要。条文まで明確に調査すること。違法と順法とのグレーゾーンや自社で起こりうる特有のケースも可能な限り調査し、自社のヒアリング結果も記録する
4,4.1
資源、役割、責任及び権限
可能であれば環境法調査にかかる予算や人材の確保を明記する。順法責任者を決める。違法、不祥事が発覚した場合の処罰を規定。各部門から現場の情報を収集、チェック、また、法律を順守する社風を作るコンプライアンス委員会などを設置する
4.4.2
カ量、教育訓練及び自覚
環境法を管理する人材の力量を認定する仕組みに変更する。従業員への順法教育などを追加する。どのような時に不祥事が起こり違法となるかケーススタディーも含めて教育すると良い
4.4.3
コミュニケーション
法律違反の情報をトップに迅速に伝達する仕組みを追加する。
内部告発など隠ぺいを防ぐ仕組みの構築も効果的である
4.4,7
緊急事態への準備及び対応
不祥事、法律違反が発覚した場合の公表と記者会見などの手順を作り、訓練も行う
4.5.2
順守評価
順法チェックの担当者の力量を考慮する。現場に依頼する場合は順法チェックシートなどをわかりやすくする工夫が必要
4.5.5
内部監査
順法監査を内部監査の必須項目とするなど、順法監査を定期的に実施する仕組みに変更。また、抜き打ち的な順法監査の仕組みも有効である

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2007年03月15日 10:37に投稿されたエントリーのページです。

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