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【連載】日経エコロジー2月号 ISO事務局悩み相談室

従業員の環境意識を高める工夫は?

従業員の環境意識を高める工夫は 従業員の環境意識を高める工夫は
IS014001認証を取得した後、 どのように環境活動を進めていけばよいのか。この視点を中心に企業を対象にしたコンサルテイング事業を手掛けている。これまで100社を超える企業の経営者や担当者とひざを交えて話をする機会を得た。その中からISO事務局の担当者に直接、役に立つ情報を提供していきたい。
今回は永遠のテーマといってもよい従業員の環境意識の向上について取り上げる。ISO事務局の担当者から、「環境意識が全従業員に浸透しない」という悩みを打ち明けられる。
だが、この問題の解決策は、ISO事務局がどれだけ従業員とコミュニケーションを取るかにかかっている。環境に関するコミュニケーションの頻度は多いか、机から離れて現場に行って指導しているか、をもう一度自問してほしい。こうした基本的な活動の継続で、従業員の意識は大きく変わるものなのだ。
以下、 3社の中小企業の実例を取り上げる。どれも「紙・ゴミ・電気」(コピー紙やゴミを減らし、省エネをする)レベルのISO活動の中で従業員の意識を変えたケースである。

朝礼で毎日、意思を伝える

機械工具を扱う専門商社である山久(滋賀県長浜市)は、ISO14001認証を2001年に取得した。従業員47人の同社は、「紙・ゴミ・電気」の活動などに力を入れている。多くの企業は「紙・ゴミ・電気」の活動を3年も続ければ、活動は停滞してしまう。
しかし、山久では取得後5年を経た現在でも現場の環境活動は頭打ちになっていない。では、何をしているのかと言えば、毎日の朝礼の時間に環境に関連する活動を組み込むという、簡単なことである。
毎月、 1週目は朝礼後に全社員でISO14001の環境方針を唱和する。2週目以降は、朝礼内でISO事務局の担当者8人が持ち回りで話をする。ゴミの分別の間違いを指摘したり、環境関連のニュースを発表するといった内容だ。
環境管理責任者の平山正樹専務は、「朝礼での発表は、環境に関連していれば何でも良い。わずか2~3分のため、ISO事務局も従業員も負担にならない。5年間継続していることが、従業員の環境意識を刺激しているのだと思う」と話す。
この言葉を裏付けるようにISO事務局には、中間管理職や一般の従業員から環境活動に関する提案が寄せられている。新入社員教育での環境方針の暗唱や、月に1回、同じ地域に住む社員同士が乗り合いで通勤する「NOマイカーデー」も、社員の提案がきっかけになっている。
業務改善の提案も増えたことから、社長直属の業務改革委員会も発足させた。山久の事例は、短い時間でも絶えず従業員とコミュニケーションを取る大切さを教えている。 自動車用コネクターなどの製造を手掛けるイリソ電子工業(川崎市)茨城工場は、 過去1年間に従業員の意識が大きく変わり、産業廃棄の処理料金を月額35万円減らした。ISO14001認証を2000年11月に取得したが、中だるみもあり1年前まではゴミの分別が十分とはいえなかった。

廃棄物置き場の前で直接指導

この工場のユニークな点はISO事務局の小林潔氏が、毎朝約1時間、廃棄物置き場の前に立って直接、指導している点である。現場では従業員の自主性を尊重して、質問があった場合に丁寧に答える形にした。毎日、同じ時間に現場で立ち続けると、多くの人が質問するようになったという。
小林氏は、「ISO事務局は間接部門であり強制力が無い。分別する従業員の立場で考えることが重要」と話す。小林氏は現場に出るに当たり、廃棄物処理法を徹底的に勉強し、社内でリサイクル博士と呼ばれるまでになった。
同工場のISO事務局長を務める青木宏・管理グループリーダーは、「従業員も小林氏との会話を楽しみながら分別活動をしているので、リサイクル活動が苦にならないようだ。分別でどのくらいコストが削減できたかを各部門にフイードバックしているので従業員の意識を高める上で役立っている」と話す。
プリント配線板の専業大手、 日本CMKの新潟サテライトエ場のケースは、現場の従業員からの質問すべてに素早く回答することで環境意識を高め、ゼロエミッション(埋め立て廃棄物ゼロ)を達成したケースである。
同工場は1999年8月にIS014001認証を取得した。環境目的・目標に「廃棄物削減及びリサイクルの推進」を掲げて環境改善活動を進めたものの、2002年に廃棄物再資源化率の伸びが停滞した。
そこでISO事務局では、「廃棄物に関する何でも相談」と題したアンケートを全従業員に対して実施。現場から寄せられた約130の疑問や要望には、どんなささいな質問であってもすべてに回答した。改善提案については実現できるものはすぐに対応し、実現が難しいケースも1年以内に対応を終えたという。
従業員にしてみれば、それまであまり関心の無かった環境活動に関して、即座に回答がある。改善提案についても、具体的に実現されていくのがわかるわけである。ISO事務局の担当者は、「一人ひとりの質問に対してじん速かつ丁寧に対応したことで評判が工場内に伝わった。結果として、多くの社員に関心を持ってもらえた」と話す。
一般に環境活動への取り組みは社内での優先順位が低く、事業部門や従業員の協力を得にくい。それだけに高いレベルのマネジメント能力が必要とされる。
3社とも事務局からの押し付けがましい指示はしていない。むしろ実績に対するフイードバックを実施するなど、自尊心に訴えることで従業員一人ひとりのやる気を引き出している。どの企業も決して難しいことをしていないが、根気強い地道な努力の積み重ねの大切さを、これらのケースは教えている。
 

●日本CMKのアンケートの主な質問内容と回答

質問内容 ISO事務局の回答
休憩室のゴミ箱に廃プラと紙が
一緒に捨てられているが良いのか
燃えるゴミ、燃えないゴミの分別は必要。
休憩室から出るゴミは、すべて一般ゴミ扱いになる
休憩室にペットボトル専用のゴミ箱を
設置してほしい
従来通り、個人が責任を持って
持ち帰ってほしい
紙と金属など一緒になっているものについて
捨て場所の判断が付かない
分離できるものについて分離する
分離できない物は金属の場所に捨てる
構内に大きく見やすい掲示物を
設置してほしい
省資源・リサイクル部会で取り上げて実現する
使用できなくなったゴミ手袋は、
どこに捨てればよいか
溶剤が付いていないものは廃プラに、
付いているものは有機物付着廃プラに捨てる
使用済みカッターの刃は、
ケースに入れたまま捨ててよいのか
ケースごと金属くずのコンテナに入れて廃棄する
フロッピーディスクはどこに廃棄するのか 一般ゴミとして廃棄する
 

ポイント

 
1、コミュニケーシュンの頻度を多くする
2、机から離れできるだけ現場に行く
3、従業員の自主性を促す工夫をする

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2007年01月17日 20:58に投稿されたエントリーのページです。

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